f) 光メディアの反射


はじめに

CD、DVD、BlueRayディスクなどの光メディアについて、
その反射光の色合いは下図のように、虹やシャボン玉のように色分解して観察されます

これは光の波としての性質、回折によります
回折とは、波が物体にあたるとその波が物体の後面に回り込む現象です
ビルの中でもラジオの音声を聞くことができるのはこの理由です
これは波長が長いほど顕著ですが、電波に比較し波長がかなり短い光でも同様です

下写真の左側がCD、右側がDVDです
大きな特徴として、
・ 色分解して見える
・ CD(左側)の反射光の幅はDVD(右側)より広い

光メディアの構造

下図は光メディアの概略の構造
透明な樹脂層にはピット呼ばれる溝が刻まれています
樹脂層にはアルミなどの反射膜が蒸着され、集光された光は反射し信号になります
読み取り光学系の光は平坦な箇所、ランドに集光します
ピットにあたる光はフォーカスがずれた状態のため戻り光が弱くなり、これにより信号のON/ OFFの識別が可能になります

※ ピット高さ(深さ)について
  CDの場合、100 μm程度
  CDの光の波長は780 nmなので、ピット高さ100 μmは約「1・1/4λ」
  ランドに漏れる光との位相差は往復で「1/2λ」になるため打ち消し合い、信号のS/ Nが上がります・・・多分

回折

回折の概念を下図に示します
波が①のように物体にあたるとその物体の背面に回り込む現象が回折
②、③のように小さな空間を通過する場合も同様に回折します
②はその空間が広い場合、③は狭い場合で、狭い場合はより大きく回折します

④は微小な反射物に光が当たった状態です  この場合も同様に回折します

回折の特徴

上記「はじめに」について、
 ・ 色分解して見える
 ・ CD(左側)の反射光の幅はDVD(右側)より広い

❍ 色分解して見える・・・理由は?

色分解して見える理由は、波長によって回折する光の方向が異なるためです
また、回折光の位相が揃った方向にその波長の光が見えます
下図は、光メディアに波長の短い光と長い光が入射した時の回折光の方向を示す模擬図

※ 波長の長い光ほど回折角が大きい
※ 一般的な光学材料は波長の短い光の屈折は大きく、これに対し回折現象はその逆の性質
  CDとDVDでは使用する光の波長が異なりますが、これを同一の光学系で読み取る場合は色収差の補正が必要です
  単一レンズの面に回折格子を刻み、この回折効果を利用して色収差を補正する例(製品)があります
※ また、あるメーカの交換レンズはこの回折の特徴を応用して色消しを行っています(軽量です)

❍ CDの反射光の幅はDVD(右側)より広い

下図は同一波長の光がトラックピッチの異なる光メディアに入射した時の回折光の状態を示します
トラックピッチが広い場合は回折角が小さく、狭くなると大きくなります

CDのトラックピッチは1.6 μm、DVDは0.74 μmです
トラックピッチが広いCDの場合、回折光の角度が小さいので、可視域の波長は面積の広い範囲で回折し
これに対しトラックピッチの狭いDVDの場合、面積の狭い範囲で回折します
このため、上写真のようにCDの反射光の幅はDVD(右側)より広く観察されます

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