5)演色性


はじめに

夜間、赤色の車前方だと実際より遠くに感じませんか?
スーパーに並ぶお肉は美味しそうに感じますが、自宅に戻って取り出すと普通みたいな、
これらは照明のスペクトル分布によります
最近の車のヘッドライトはメタルハライドやLEDが多く、視認性を上げるために視感度の高いスペクトル(550 nm近傍)の強いランプを使用していて、赤のスペクトルは少な目  このため赤の視認性が低く赤色の車が遠く感じます  
逆にお肉売り場の照明は温白色の赤の波長(600~640 nm)が強いランプを使用していて、赤みがさえます

演色性は光源の性能を示す一つの指標で「自然光下で見える色をどの程度忠実に再現するか」を表す値
それと「照明される物体の色をどれだけ鮮やかに好ましく再現するか」と言った意味合いもあります

演色性は平均演色評価数(Ra_Average of Rendering Index)と特殊演色評価数(CRI_Color Rendering Index)の2通りの評価数があります

演色性の基準色はマンセル表色系に基づきます
マンセル表色系は100年以上の歴史を持ち最も一般性の高い表色系ですが、色見本を前提としています

マンセル表色系

マンセル表色系は色を色相(Hue)、明度(Value)、彩度(Chroma)の3属性に分類し、色を客観的な数字、記号で表します

❍ 色相(Hue)

赤(R)黄(Y)緑(G)青(B)紫(P)の5色を基本色として、それらの中間色の橙(YR)黄緑(GY)青緑(BG)青紫(PB)赤紫(RP)を加えた10色相が基準色で、更にそれらを10分割した合計100色で構成されます
これを羅列すると、
1R・2R・3R・4R・[5R]・6R・7R・8R・9R・[10R]・1YR・2YR・3YR・4YR・[5YR]・6YR・7YR・・・・・
この100色の内5R・10R・5YR・10YR・5Y・10Y・5GY・10GY・5G・10G・5BG・10BG・5B・10B・5PB・5P・10P・5RP・10RPの計20色を円形上に配列したのがマンセル環です

下左図にマンセル環を示します  また、各色にRGBコードを振りました
※ 下左図のRGBコードはあるAIの回答によりますが、AIの種類によって内容が異なります・・・ご参考程度に

❍ 明度(Value)

色の明るさを表す指標が明度(Value)  黒を0・白を10としてその中間の明るさを1~9の範囲で表現します

❍ 彩度(Chroma)

色の鮮やかさを示す値が彩度(Chroma)
無彩色を基準0として、色の鮮やかさの度合いが増すと数字が大きくなります
彩度は明度と異なり最大値が各色で異なります
最も大きな値を取るのが5R(赤)で14、もっとも低い値を取るのが5BG(青緑)で10

演色性

光源(ランプ)の色再現性の忠実度を表すのが演色性
自然光下で観察される色合いを0~100(最大値)として、ある光源下で見た色合いがどのようかを表します

※ 自然光は明所標準分光分布(D65)として標準化されます

※ 演色性評価指数は基準色(Ra_ 8色、CRI_ 8+7色)の色再現性の平均値

最近の一般照明はメタルハライドランプなどの放電灯やLEDランプが主流で、これらのランプのスペクトル分布は強い強弱があり、演色性評価指数がそのランプの性能(色再現性)を正確に表すか疑問のところもありますが、
ただ、従来から使用される演色性評価指標はランプの性能を理解する上で簡便で、照明器具を購入する際などの重要な指標(消費電力・発光効率・演色性)の一つです

❍ 平均演色評価数_Ra(Average of Rendering Index)

Raは8色の低飽和色を用い、その色再現性の平均値です(Raは [Standard CRI] と記載される場合もあります)
下左図に基準の色番号とそのマンセル値、RGBコードを、下右図にそのRGBコードを用いて作成した色サンプルを示します

※ 基準色を示す頭文字のR(R1, R2, R3・・・)は再現を表す[Render]、あるいは評価を表す[Rating] の略
※ マンセル値のRGBコード変換は、下記URLの変換機能を使用しました
  https://colorcodesearch.com/munsell/

❍ 特殊演色評価数_CRI(Color Rendering Index)

CRIの基準色はRaの8色に加え、飽和色に近い4色と低飽和色3色の計7色を加えた15色で構成され、その色再現性での平均値で表されます(Extended CRIと記載される場合もあります)
下左図に基準の色番号とそのマンセル値、RGBコードを、下右図にそのRGBコードを用いて作成した色サンプルを示します

※ R9はLEDランプの赤の光量を把握する上で重要な基準色です
  また、R13(白人の肌色)、R15(日本時の肌色)は、カメラワークでの照明の適正を判断する上で重厚です
※ マンセル値のRGBコード変換はRaと同様のURLを参照してます
  色相が2.5刻みのため、隣接する色相のRGBコードを補間し算出しました・・・参考値

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