はじめに
媒質界面での光の屈折はスネルの法則として定義され、射出角は、媒質の屈折率と入射角の正弦値として求まる値です
光学の主仕様の開口数(NA)や角倍率、主式のラグランジュの不変量や正弦条件等、多くの諸仕様や式は三角関数を用いて算出されます
また光は横波で正弦波、干渉や偏光を考える上で時間軸上での正弦波の理解が必要です
このようなことで「三角関数を簡便に理解するには」をテーマに、
三角関数
❍ 三角関数の関係式の理解
三角関数は英語表記で ‘Trigonometric Functions’ あるいは ‘Circular Functions’
‘Circular Functions’ と表記されることからも分かるように三角関数は「円関数」です
下図のようにXY平面上の原点を中心とする半径 [1] の円を考えます
点PのX軸と織りなす角度を [u] とすると、正弦 sin(u)の値はY軸上の yp の値、余弦 cos(u)の値はX軸上の xpの値
下図より、
sin(u)はcos(u)より90°(π/2 rad)遅れた、あるいは cos(u)はsin(u)より π/2 rad 進んだ状態と考えられるので
sin(u )= cos(u – π/2) / cos(u) = sin(u + π/2)
Xpの2乗とypの2乗の和は半径の2乗なので
sin(u)2 + cos(u)2 = 12
sin(u) = √(1 – cos(u)2) / cos(u) = √(1 – sin(u)2)
tan(u) は yp/xp なので、
tan(u) = sin(u) / cos(u) / sin(u) = tan(u) ・ cos(u)
等々、図を思い描くと様々な式が導きだせます
※ 上述のようにXの値が cos (余弦) 、Yの値が sin (正弦)、Xの値に対するYの値が tan (正接)と考えると理解しやすいと思います

❍ 時間軸を考慮した正弦式
光は横波で、電場・磁場の動きは時間軸上での正弦波として表されます
また干渉や偏光は電場の波どうしの重ね合わせで理解されます
正弦波は左図の円周上を等角速度で移動する点の振幅(y)を縦軸に、時間軸を横軸に取ってプロットした波です
正弦波の時間との関係式は、
y = A・sin(ωt-φ)
A_ 振幅
ω_ 角周波数
t_ 時間
φ_ 初期位相
※ 角周波数ωは点Pが円周上を単位時間当たりどの程度移動(回転)するかを示す値
周期との関係は
ω = 2π / T(周期)

❍ 弧度(radian)
三角関数で使用する角度は弧度です(単位は rad )
弧度は円弧の長さを角度の値としたものです
※ 円周率πは直径に対する円周全長との比
半径1の全円周長は2πで、半円周長はπ(180°)
❍ 三角関数の略式
角度 u が小さい場合、sin(u)の値とその円弧の長さは同じと考えられるため、
sin(u) ≒ tan(u) ≒ u
cos(u) ≒ 0
と近似する場合があります(光学の近軸式はこの考え方です)