12)解像力_2点像


はじめに

光学は幾何光学と波動光学に分かれます
幾何光学は点から射出した光が点へ集光する考え方、これに対し波動光学は回折(Diffraction)の影響を考慮します

解像力は波動光学を基にしており回折の理解が必要です
以下、回折と像形成と2点像の解像力について

※ 回折は波の性質の一つで、波が物体の後ろ側へ回り込む現象

回折と像形成

下図は収差の無い理想レンズにより物点Aが像点A’に結像する概要です
A点から射出する球面波は前側の理想レンズにより平面波になり、絞りを通して後側の理想レンズによりA’点に結像します

絞りを通過する際、絞りの縁を通過する光は回折の影響で絞りの後側へ回り込みます(赤の実線)

絞りを通過した光は後側の理想レンズで球面波(青の実線)になりA’点に集光しますが、回折した光は前述の球面波と進行方向が異なります
このため、A’では回折の影響で広がりを持った像点になります

F値とスポットサイズ

上図よりF値の値が大きくなればなるほど、回折の影響が大きくなることが分かります
具体的にF値とスポットサイズの関係がどのようか、理想レンズを用いシミュレートした結果を下図に示します

※ F値_2.5、5  波長_550 nm

結果から、スポットサイズはF値に比例して大きくなることが分かります

波長とスポットサイズ

下図にスポットサイズと波長の関係を示します
回折は波長が長いほど顕著で、波長に比例します

※ F値_2.5  波長_550 nm, 1100 nm

解像力_2点像

解像力を定義する方法は様々ですが、代表的な解像力の定義方法にレーリー(Rayleigh)の分解能があります
2つの点光源を近づけていき、その像が区別して見える間隔を解像力と定義します
2点像の間隔(下図のε)はバックグランドから74%の箇所です

収差の無い理想レンズの場合のεの値は

ε = 1.22λFno.    λ_波長  Fno._F値 ・・・ この値はエアリーディスクの半径に相当します

※ 解像力は上述してきたように波長、光学系の明るさ(F値)に影響されます
  実際の光学系は、収差を含み無収差レンズの考え方がそのまま応用できませんが、2点像の考え方は様々なケースで役立ちます

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