はじめに
光軸と垂直方向の倍率が横倍率、これに対し光軸方向(奥行き方向)の倍率が縦倍率
横倍率は像の大きさ、縦倍率は被写界深度に影響する要因です
以下、横倍率と縦倍率が関係と被写界深度について、
横倍率と縦倍率の関係
各下図は薄肉レンズの結像関係
下上図は高さ y 、奥行き ⊿z1 の物体を横倍率 1/2 の位置に配置した時の結像
下下図は高さ y 、奥行き ⊿z2 の物体を横倍率 1/4 の位置に配置した時の結像
この時の横倍率 1/2 の縦倍率(像の厚み)は 1/4 、これに対し横倍率 1/3 の縦倍率は 1/9
※ このことから、縦倍率は横倍率の2乗で変化することが分かります
横倍率 m1 = 1/ 2

f_ 焦点距離
y_ 物体高さ y’_ 像高さ
⊿z1_ 物体の厚み ⊿z1‘_ 像の厚み
横倍率 m2 = 1/3

f_ 焦点距離
y_ 物体高さ y’_ 像高さ
⊿z2_ 物体の厚み ⊿z2‘_ 像の厚み
被写界深度と影響要因
F値と被写界深度
下図にF値 2.8 と 5.6 の像面での光束の状態を示します
被写界深度は許容可能な光束径の範囲長(図のa, b)なので、被写界深度はF値の逆数に依存します

レンズ焦点距離と被写界深度
例えば、焦点距離 25 mmと焦点距離 50 mmレンズの被写界深度は?
物体距離を一定とすると横倍率はレンズの焦点距離に逆比例し、縦倍率はその2乗で変化
従って、焦点距離 25 mmのレンズの被写界深度は4x広い
物体距離と被写界深度
例えば、同じ焦点距離のレンズで 1 m と 2 m の物体を撮影する時、そのフォーカスが合っている物体距離の範囲は?
横倍率は2x異なるので、物体距離 1 m の場合は 2 m の場合と比較して1/4 xの物体距離の範囲
四方山話_光学機器の開発
この縦倍率のページを記載していて色々思い出すことが多く 少しお話を
光学機器は多種多様です 用途や目的によって様々な仕様がありアプローチの仕方が異なります
個人的には医療機器の開発テーマが多く お医者さんが使いやすい 病理診断がしやすいなどがテーマ
医療機器には様々なものがあります ただ傾向として今まで見えなかったものを見えるように
例えばより精密な観察 より細かな部位の観察 より広範囲な観察等々 そしてより低侵襲な機器構成
また昨今 IOWNに代表される高速・低遅延通信を利用した遠隔によるロボット手術なども実証段階で3D画像の取得も必須項目
光学的に見ると解像度を上げようとするとF値を小さくする必要があり 結果被写界深度が狭まります
ではどのように相反する項目を満足していくのか?
・・・この課題に対し、上述の縦倍率の概念は非常に重要です