はじめに
下左右図は凸レンズと凹レンズの2枚構成でほぼ同じレンズ長で構成した光学系です
各焦点距離は左図が f 、右図が 2f
どちらの光学系が明るいでしょう?
入射光束径の大きな右側のレンズが明るいように思えますが、同じです
光学系の明るさは、像面への光線入射角 u で定義されます
以下、光学系の明るさの表し方について、

光学系の明るさの定義方法
❍ NA (Numerical aperture)
NAは開口数と呼ばれる値で、像面への最大光線入射角 u の正弦値_sin(u)
主に顕微鏡対物レンズのように回折限界値が重要視される光学系、光通信系、レーザ光学系等の非撮像光学系で使用されることが多いです
NAは像側(NAI)で定義する場合が多いですが、レーザを光源とする場合などに物体側NA(NAO)を使用するケースもあります
❍ F値(F Number)
カメラレンズなどの撮像光学系で多く使用されます
下図において、後側焦点F’を中心に円弧を描き、この円弧の半径rを上下光線束の径 φB で割った値です
※ 図から、φBの値は 2NA、r = 1とするとF値は
F値 = 1 / 2NA
※ F値は後側焦点F’を基準とした値で、つまり物体が無限遠にある場合の明るさ
有限系の場合は「有効F値」で表します
❍ 入射瞳直径(Entrance Pupil Diameter)
下図のようにレンズの前側に絞りを配置する場合など、入射瞳の位置や径が分かりやすい場合等に多く使用します
また、接眼レンズやプロジェクターレンズなどの設計では、実際の使用と逆向きに設計する場合があり、これを実際の使用に合わせ反転する場合、F値やNAを入射瞳直径に置き換えます
下図ではφAの値が入射瞳直径 焦点距離を入射瞳直径で割ると「≒F値」
