はじめに
機械製図にはJISに定められた様々な規則があります
下記に概要を示します
※ できるだけJIS規格に沿った作図が必要です
・JISはISO(国際標準規格)を遵守しており、世界共通の規格
・独自規格の場合、後工程で認識違い等のトラブルが発生し易い
・顧客の信頼を得る上で、規格に沿った作図は技術的な信頼性をUP…等々
機械製図の規則
❍ 製図用紙
用紙にはA列、B列など様々なサイズのものがありますが、機械製図ではJIS Z 8311にA列サイズから選ぶことが定められています
A0_ 841 x 1189
A1_ 594 x 841
A2_ 420 x 594
A3_ 297 x 420
A4_ 210 x 297
❍ 文字
文字は正確に読みやすく、図形に適した大きさで揃えて記載することが必要です
また文字の種類、大きさ(高さ)は標準値が定められています
・漢字_常用漢字を使用し、16画以上はかな書きが推奨されます
高さ_3.5, 5, 7, 10 mm
・仮名_平仮名、片仮名のいずれか(混用しない)
高さ_2.5, 3.5, 5, 7, 10 mm
・ラテン文字・数字_A型書体(文字の線の太さが文字高さの 1/14 )
高さ_2.5, 3.5, 5, 7, 10 mm
❍ 線
・線の太さ_線の太さは細線、太線、極太線の3種類
細線の太さを1とすると太線が2、極太線が4
標準の太さ_0.13, 0.18, 0.25, 0.36, 0.5 mm…
・線の種類_一般的には実線、破線、一点鎖線、二点鎖線の4種類
・用途別線種_
外形線_太い実線
寸法線_細い実線
引き出し線_細い実線
中心線_細い一点鎖線
かくれ線_細いもしくは太い破線
破断線_不規則な細い実線もしくはジグザグ線
切断面_細い一点鎖線
想像線_細い二点鎖線
ハッチング(断面図の切り口)_細い実線
※ かくれ線について、以前は細線と太線の中間の太さでしたが現在は細線もしくは太線のどちらかを選択します
また、一連の図面で混在しないようにします
・各線種のピッチ
破線や一点鎖線等の線のピッチの標準値はJISで下図のように定められています

❍ 尺度
実物と同じ尺度で描く場合を現尺、縮小する場合を縮尺、拡大する場合を倍尺と言います
縮尺、倍尺はJIS Z 8314で下記に示す尺度を推奨しています
縮尺_2:1, 5:1, 10:1, 20:1, 50:1
倍尺_1:2, 1:5, 1:10, 1:20, 1:50・・・
※ 尺度は表題欄に記載します
※ 尺度の異なる部分拡大図などの場合はその図の近傍に尺度を記載します
❍ 断面図とハッチング
内部を図示する場合、かくれ線(破線)を使用するが、複雑な構造の場合分かりにくくなる
このため、断面図を用いて内部構造を明瞭にするケースがある
切断面にハッチングを施すことで切断面であることが明確になる
ハッチングは外形や中心線に対し45°の角度で描くことが推奨される
※ 2点以上の相接する物品を切断面で描く場合、ハッチングは向きを変える、あるいはピッチを変えるなどして区別できるようにする
※ ハッチングのピッチは2~3 mm程度が良いとされている
❍ 対称図形の省略
対称な物品でもできるだけ省略せずに作図するのが良いと思いますが、図面のスペースの問題など、B図のように正面図の1/2半分あるいは1/4半分を作図するケースも想定されます
この場合、切断面に平行な [=](赤丸部) を記載し切断面であることを表記します
※ 記号[=]_対称図示記号
C図の場合、切断面状の穴を切断面より延長して作図してます
このように切断面より一部あるいは全体を多少延長することで切断して作図していることを表すことができ、対称図示記号を省略することができます
